< ねんねこ >
”重松流祭囃子”の演目の中に「ねんねこ」というのがあります。
日本の代表的な子守唄「江戸子守唄」が元歌になっています。
「ねんねこ」とは、@[児]ネコ・寝ること・眠ること。A”ねんねこ半纏”の略。
<江戸子守唄>
一、ねんねん ころりよ おころりよ
(ミ♭〜ミ♭レ〜 ミ♭ソミ♭レ〜 シ♭レミ♭ソミ♭レ〜)
ぼうやは よい子だ ねんねしな
(ソ〜ラソラ シ♭レミ♭レ ソラシ♭ソラ〜)
二、坊やの お守りは 何処へ行った
あの山 越えて 里へ行った
三、里の 土産に 何もろた
でんでん 太鼓に 笙の笛
<ねんねこ>
ト〜ロトロヒャイ トヒュ〜ヒャライト トヒャラヒャイトロ ヒャ〜イヒャ イヤ
(ミ〜ミレ ミソミレシ♭ラ シ♭レミソミソ レ〜ミレ シ♭ラ)
ト〜ヒャイトロ トヒュ〜ヒャライト トヒャラヒャイトロ ヒャ〜イヒャイ
(ソ〜ラソラ レソラミレシ♭ラ ソララシ♭ラレソ ラ〜ソラ)
(繰り返し)
「江戸子守唄」は、陰音階(レミ♭ソラシ♭)で歌われているのですが
重松さんは、「ミ♭」の音を「ミ」にして陽音階(レミソラシ)にし
「シ♭」は陰音階のままにして、陰と陽を絡ませているのです。
笛のメロディーだけではなく
天ドンドン ス天ドンドン 天テケ天ド天ド 天ドンガドン ドロ
天ドンドン ス天ドンドン 天テケ天ド天ド 天ドンガドン ドロ
と、太鼓もツケと大カンが気持ちよく絡んでいます。
「重松流祭囃子」では”おかめさん”が
この「ねんねこ」に合わせて獅子を寝かし付けるのですが
”おかめさん”の笑顔は、どんなに悪い人でも心を和ませ
どんなに恐ろしい獅子をも安らかな眠りの世界に誘ってくれるのです。
やさしいお母さんのように・・・
”おかめさん”の持つ<美>と<醜>は
「ねんねこ」の旋律の陽と陰のように絡んでいる。
美醜一如
(本物の美とは、醜をも含んだ美である)
重松さんも赤ん坊のときは
お母さんに子守唄を歌ってもらいながら
深い眠りについたことでしょう。
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